生きる。

人が生きていくって、簡単なようで難しい。
人が生きていくために、お金が必要なのは確か。
それでも、お金だけがあったら、人はしあわせになれるのか。

僕は、やっぱりNOと言いたい。
お金があるがゆえに、手に入らないしあわせは、絶対にある。

『夢はお金持ちになること』

少女の言葉は、胸を刺した。
それは、夢じゃないよ。
夢って、そういうものじゃない。
きっと。

でも、それは少女に非があるわけじゃなくて。
少女が生まれ育った環境かもしれないし。
今のこの世界が生み出したものなのだ。

そして、歪んだ世界が生み出した少女は、さらに歪んだ世界へ歩み始める。
それは、あまりにも非情だ。
少女が『頑張ります』という言葉を口にするたび、その言葉が胸を抉る。
その覚悟があるのなら、君はもっと違う道を選べるはずだ。
そんな歪んだ世界で、頑張ることはないんだ。
君には、もっとステキな世界が広がっていてもいいはずなんだ。
もっとステキな世界を、望んでもいいはずなんだ。

それを隠しているのは、やはり歪んだ、この世界なのか。

『夢に近づく最後の手段』と強い瞳で語る女性も、そうだ。
夢を持ち続けることは、大切なこと。
だけど、なぜその手段を選んだのか、選ばざるをえなかったのか。
たとえそれで夢に近づいたとして。
それは素直に喜べることなのか。
その夢が、歪んでしまう気がして仕方がない。

すべてを否定するわけじゃ、ない。
僕だって、少なからず彼女たちに似た世界にいる。
それでも、それが歪んだ世界だと、少なくとも認識している。
このままじゃダメだって、思ってる。

人の生き方は、他人が口出しすることなんてできやしない。
その人には、その人なりの、世界の在り方がある。
それは、本人にしか、わからないことだから。

だからこそ、僕は問うてみたい。
少女に。
彼女たちに。
そして、すべての人たちに。

あなたの夢は、なんですか。
あなたは、なんのために生きていくのですか。
そして。
あなたは、今、しあわせですか。